(1) 痛風の痛み

 痛風は9割以上が成人男性に発症し、以前は中高年男性に多い「ぜいたく病」といわれましたが、最近は30歳代に発症する人が最も多く、若年化する傾向にあります。 痛風の治療は「生涯治療」といえます。ところが痛風発作のとき以外は無症状なので、治療が続かないことがよくあります。 治療は痛風発作の痛みを取るだけでなく、高い血清尿酸値を正常範囲に維持し、最終的には尿路結石など腎臓障害や他の生活習慣病の合併を予防するのが目的です。 このほかにも、心疾患や脳血管障害などさまざまな病気を合併することもあるのです。
 ただ幸運なことに、痛風はコントロールできる病気です。 痛風発作の原因となる高尿酸血症は、血液中に尿酸が多くなった状態をいいます。 尿酸塩(尿酸の結晶)が関節などに溜まると、関節は赤く腫れあがり激しい痛みを伴い、 いわゆる痛風発作を起こすわけです。

 血清尿酸値は7.Omg/㎗以下が正常で、これを超えると高尿酸血症と診断されます。 血液中に尿酸が増える原因は、①尿酸が体内で多く産生される、②尿酸の排泄が悪い、③その両方によるものがあります。 また、肥満・飲み過ぎ・食べ過ぎ・運動不足・ストレスなどの要因が重なっても起こり、血液の病気・悪性腫瘍、腎臓病や利尿剤などの薬剤も原因になります。
 治療は3段階あり、第1段階は痛風発作を抑える対症療法。第2段階は血清尿酸値を下げる原因療法。第3段階は合併症を予防する健康管理です。
 健康管理では、まず肥満があれば解消します。肥満対策としても出来るだけ栄養バランスの良い食生活を送り、アルカリ性食品を多くとります。 尿が酸性だと尿酸は溶けにくく、尿路結石の原因になります。野菜や海藻などを十分とるよう心がけます。 水分を十分とって尿量を増やし、尿と一緒に尿酸を排泄。

 1日の尿量が2㍑以上になるようにします。飲酒も控えます。アルコール自体に肝臓での尿酸産生を亢進させ、腎臓からの排泄を低下させる作用があります。 1白の適量は、ビールは500㍉㍑、日本酒は1合、ワインは3分の1本、ウイスキーはシングル2杯が目安です。 また激しい運動は避け、適度な有酸素運動をします。 1日20分間の早足歩き、軽いジョギングがお勧めです。 ただし一般的には軽いと思われる運動でも、痛風発作を起こすことがあるので注意は必要です。

 痛風、高尿酸血症と診断された人は、定期的に通院して血清尿酸値を測定し、必要な薬の量も調整しながら、 高血圧、高脂血症などの合併症のチェックと管理を医師と協力して行っていくことが重要です。 繰り返しますが痛風の治療は「生涯治療」ですが、十分コントロールできる病気です。 自分の判断で治療を中止しないことが大切です。